上海旅行記>上海の町を見下ろす


(6月29日続き)

地下鉄で思いのほかスムーズに移動できたので、町を横断して「浦東(プートン)」まで行ってみることにした。

■移動)地下鉄 3元(約50円)

浦東は夜景で見たテレビ塔と88階建てのGrand Hyattがあるところだ。88階には展望台があるらしいので、そこに上ってみようと思う。

■見学)金茂大廈88層観光 50元(約700円)
http://www.jinmao88.com/jinmao_edifice.htm
※このビルのデザインは、S.O.Mというアメリカのデザイン事務所に発注したものだそうで、中国の古い塔の形をモチーフにしているそうです。ただの高層ビルではなく、うっすら雰囲気が漂ってきますよね。

上から上海の町を見下ろしてみて、やっぱり最初に来るべきだったと痛感する。何回も地図を見たけれども、どうにもよく分からないなあと思いながら一日うろうろしてきたけれど、やっぱり「百聞は一見に如かず」「Seeing is believing」ですね。町をそのものを一望すると、何回地図を見るよりもよく分かります。

ここで夕日がくれるのをぼんやり眺めながら、いろいろ考えました。そして、今日一日、繁華街を歩き、上から見下ろし、気づくこととしては、消費経済はまだまだ東京の規模ではないということです。東京のように、銀座があって、新宿があって、渋谷があって、池袋があって、代官山があって、浅草があって、というような状態ではないのです。まだまだ知的労働者の数も全然少なそうですし、地下鉄も3本しかないし、車の数も少ないし、トラックの姿もあまり見ません。

日本の現状はどうでしょうか?家のたんすには洋服が詰まっているし、女性はみんなルイヴィトンのカバンを持っているし、「今日は飲みすぎたな」で5000円くらい払っちゃうような、そんな状態とは違うということです。まもなく中国の人も追ってくるでしょう。でもまだ追いついてはいません。何年で追いつけるかは分かりませんが、10年はかかるように思います。何しろ物価水準がまだ10倍くらい違いますから。日本の所得倍増計画でも10年で2倍でした。物価水準が全ての指標ではないにせよ、少なくともまだ10年はかかるように思います。

つまり、中国にはまだまだチャンスがあるということです。日本が1970年代~2000年代くらいの30年くらいかけて経済が加熱し、成熟化したのと同じような変化をこれからの上海は見せてくれると思います。すでに中国は製造業では世界の水準に追いつきだしています。だから、中国にこれ以上製造業のノウハウを持ち込んでもあまりお金にはならないかもしれません。でもその次の産業があります。金融業とか、不動産業とか、システム構築業とか、IT産業とか、サービス産業とか、エンターテインメント産業とか、ブランド服飾産業とか、そういうものについては、まだまだ中国に参入する余地があると思いました。

この日はもう一度町を横断して、西側にあるホテルのレストラン(K君にすすめてもらったお店)に行った。

■移動)タクシー 25元(約350円)

■夕食)老夜上海(錦江飯店内) 90元(約1260円)
※もう何でもK君の助言に従ってしまうのだが、中華の注文の仕方として教えてもらったとおり、肉料理、野菜料理、ご飯かそばを一品ずつ頼んだ。僕は子えびのてんぷらに塩をつけて食べる日本でメジャーな料理を食べたかったのだが、上海ではそういうメニューはなかった。骨付き肉のいためたものと、ほうれん草の炒め物、チャーハンを注文した。無難な味わいでおなかいっぱいになったが、これで1000円ちょっとなので、驚いた。上海で食い道楽すると、とってもお財布にやさしいのだと気づきました。

<この旅行で困ったこと&楽しかったこと>

なんといっても、どこに行っても中国語で話しかけられることです。僕の顔はずいぶんと中国系らしく、ほとんどの人が中国人だと思ってくれるようです。前回、香港からシンセン、広州に旅行したときも、僕の友人は英語で話しかけられるのに、僕だけは中国語で話しかけられるということが何回もありましたが、今回も同じでした。今日一日で、最初のうどん屋の人たち、ケンタッキーの店員、地下鉄の駅員、パソコンショップの店員、喫茶店の店員、レストランの店員、もうほとんどの人が「ニーハオー」と話しかけてくるんですよ。で僕のほうは、なんていうか、顔は日本人なんだけど、日本語が分からない日系アメリカ人にでもなったような顔をして、「I'm Sorry」とかいう訳です。この「I'm Sorry」という言葉は便利で、英語の使える人はそれ以降英語で話してくれるし、英語の使えない人とはそれ以上口頭でコミュニケーションをとる方法がないので、お互いにもう諦めて身振り手振りと筆談でやることになるわけです。

いやあ、本当に「え、あなた日本人?」みたいなことばかりで苦労したんですが、逆に考えるとこれほど楽しいこともないわけです。普通外国に行くと、異邦人として見られ、なかなか話しかけられることもなく、話しかけてくるのは観光客相手のガイドとか、そういう特別な人ばかりです。ところが今回は、ばんばん普通の人が普通の会話をしてきてくれるので、ちょっと中国語勉強したいなあと思うようになった次第です。「謝謝(シェシェ)」くらいはいえるようになったと思うんだけど、今ひとつ発音に自信なしです。



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